勤怠管理コラム

時間外労働の正しい定義とは? 労働時間の定義と法的なルールを一目で解説

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目次

「法定労働時間」、「所定労働時間」「時間外労働時間」「所休労働時間」など労務管理においては、様々な労働時間が登場します。
労働時間は一般的には労働者が仕事に費やす時間を指しますが、その範囲や定義は法律や就業規則により異なります。これらの労働時間の定義を理解することは、労務管理の第一歩です。

特に時間外労働は「36協定」や「割増賃金」など法律による規制があり、その遵守が求められ、正しく理解をしどの時間が時間外労働かという判断が適切にできていないと未払い賃金の原因にもなりえます。

本記事では、これらの労働時間の種類や定義、法律による規制について詳しく解説します。

労働時間の種類と定義

労働時間とは

厚生労働省が策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、以下のように労働時間の考え方が示されています。

・労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる
・労働時間に該当するか否かは、労働契約や就業規則などの定めによって決められるものではなく、客観的に見て、労働者の行為が使用者から義務づけられたものといえるか否か等によって判断される

【労働時間に該当する例】
① 使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間
② 使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
③ 参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

法定労働時間

法定労働時間とは、労働基準法第32条に「1日8時間・週40時間」と定められた労働時間の上限です。例外として、商業、映画・演劇業(映画製作の事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業で労働者が常時10人未満の事業場では、1週間の法定労働時間は44時間です。

企業は全ての労働者に対してこれを遵守する義務があり、この法定労働時間、労働条件の最低基準であり、法定労働時間を超えて時間外労働をさせることを内容とする労働契約は、その部分において無効となります。また、法定労働時間を超えて労働させる場合は、原則として、労働基準法違反の行為となり、刑事罰が課されます。

所定労働時間

所定労働時間とは、労働契約や就業規則などによって定められた労働者が通常働かなければいけない労働時間です。労働基準法では1日の労働時間は8時間以内と法律で定められているので、原則8時間以内で定めることとなりますが、変形労働時間制など所定労働時間を1日8時間以上とできる例外もあります。

所定労働時間を超した労働時間は「所定外労働時間」(=いわゆる「残業時間」)となります。給与計算で残業代の支払いの対象となる時間として使用されますが、後述するように割増賃金の支払いが必要な場合と必要でない場合があります。

時間外労働時間とは

所定外労働時間と時間外労働時間の違い

時間外労働時間と所定外労働時間は、一見すると同じように感じられますが、実際には取扱いが全く異なりますので注意が必要です。労働基準法で定められた時間外労働時間とは、労働者が法定労働時間を超えて働いた時間を指します。そして先述した通り割増賃金の支払いが必要となってきます。

一方、所定外労働時間とは、労働者が所定労働時間を超えて働いた時間を指します。一般的に残業時間と呼ばれるもはこちらを指すことが多いです。通常の賃金を元に所定労働時間を越した時間分の賃金を支給する必要はありますが、1日8時間、週40時間以内であれば割増賃金を支払う必要はありません。

ここで重要なのは時間外労働時間と所定外労働時間は取扱いが、必ずしも同じではありません。

例えば所定労働時間が8時間の労働者が9時間働いた場合、1日8時間を越した1時間が時間外労働時間となります。また所定労働時間を越した1時間は所定外労働時間でもあります。この場合、1時間分の賃金に割増賃金を含めて支給する必要があります。

一方で所定労働時間が7時間の労働者が9時間働いた場合、1日8時間を越した1時間が時間外労働時間は変わりませんが、所定外労働時間は7時間なので、所定外労働時間は2時間となります。この場合は、所定外労働をした2時間分の賃金に時間外労働をしている1時間分の割増賃金を含めて支給することになります。

このように働き方によっては、所定外労働時間で割増賃金が必要な部分と必要でない部分が発生することがあり、この違いを理解することは、適切な労働管理に不可欠となってきます。

法内残業時間と法外残業時間との違い

先ほど一般的に所定外労働時間を残業時間というと述べましたが、法内残業時間と法外残業時間という区別をしていることがしばしばあります。どちらも所定外労働時間ですが、法定労働時間(1日8時間)以内の割増が発生しない所定外労働時間を法内残業時間、法定労働時間を越した割増賃金が必要となる所定外労働時間を法外残業時間を言います。

先ほどので所定労働時間が7時間の労働者が9時間働いた場合で言いますと、所定外労働時間のうち最初の1時間が法内残業時間、8時間を越した1時間が法外残業時間となります。

時間外労働に関する法律の規制

時間外労働を行わせる場合には36協定が必要

労働者が法定労働時間を超えて働く場合は、事前に「時間外・休日労働に関する協定」を労使間で締結し、労働基準監督署に届出を行う必要があります。この協定は労働基準法第36条に根拠があることから「36協定」と呼ばれています。

36協定では、時間外労働時間の上限時間などを詳細に定めます。そして協定を締結し労働基準監督署に届け出をしないまま時間外労働を命じた場合は、労働基準法違反となり、罰則が適用される恐れがあります。

時間外労働時間の上限時間とは

36協定を締結し労働基準監督署に提出したからと言って無制限に時間外労働が可能になるわけではありません。時間外労働に対しても法定の上限があり、月45時間、年に360時間を超える時間外労働は原則として認められません。ただし、36協定にて特別条項を設けることで年6回まで先述の上限を超えることができます。特別条項を設けた場合でも、時間外労働時間と休日労働時間の合計が月100時間未満、時間外労働時間の合計が年720時間未満としなければならず、さらに各月で過去2か月~6か月のそれぞれの時間外労働時間と休日労働時間の合計の平均が80時間未満とする必要があり、厳格な制限が設けられています。

割増賃金が必要

また時間外労働を労働者に行わせた場合、企業は割増賃金を支払う義務があります。この割増賃金率は労働基準法で定められており、36協定にも記載する必要があります。

まず時間外労働についての割増賃金率は、通常の賃金の25%以上です。月の時間外労働時間の合計が60時間を超えた分にはさらに25%以上の割増賃金が必要です。

また深夜労働(午後10時から午前5時までの間に行われる労働)には、通常の賃金に加えて25%以上の割増賃金が追加されます。

その他、休日労働についても割増賃金が必要です。法定休日に労働を行わせた場合には、通常の賃金に加えて35%以上の割増賃金が支払われます。

Gripperの時間外労働の管理

①勤務日パターンごとに法内残業・法外残業を集計

Gripperでは従業員の働き方にあわせ所定労働時間を設定できますので、働き方にあわせて法内残業時間や法外残業時間の集計が可能です。また週40時間超過分の時間外労働時間や月60時間超過分についても集計をして、毎月の残業時間の内訳を確認し、会社の給与体系にあわせたデータが作成可能です。

②承認ワークフローから残業申請・報告を設定することで従業員の残業を管理

Gripperでは残業を承認・報告制にすることが可能です。上司が部下の残業をチェックすることで過度な時間外労働を抑制します。

③アラート機能や集計レポートで時間外労働を可視化

月に3回まで設定できるアラート機能で、複数回にわけて従業員に時間外労働に対してのアラートを出すことが可能です。また集計レポートで項目ごとの月次推移がすぐに出力できるほか、36協定の遵守状況も一目でわかる機能が実装されています。

まとめ

勤怠管理において、労働時間の把握は基本中の基本です。フレックス制やテレワークなだ働き方の多様化が進んでいる今だからこそ、その運用を適切なものとするため、まずは基礎に立ち返り、それぞれ労働時間が意味するものをしっかりと把握する必要があります。

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